誰のため
最近、区画整理地内に計画する事が多い。
現在、工事進行中のお宅が2件、設計中のお宅も数件ある。
そんな中、先日設計の依頼を受けたY様の建築予定地を調査しに行って驚いた。
区画整理も終盤に差し掛かったその団地内は、かなりたくさんの住宅が完成していたり、工事中だったり・・・。
本来であれば、碁盤の目のように綺麗に区画されたその土地には美しい町並みが形成されるはずなのだが、どうにも品が無い。
それは、いろんな住宅会社がいろんな特徴を出して建築した事によるわけではなく、原因は別にあった。
『主窓の方角』がそれぞれ違うのだ。
例えば、向かって右側を『南向き』として大きな主窓を設けているお宅もあれば、正面を『南向き』としているお宅もある。
区画整理の『碁盤の目』が真北に対してほぼ45度振れているのである。
そうかといって、道路に対して45度、斜に構えて間取るほど敷地に余裕は無い。
一日を通して観察してみれば、その住み難さは一目瞭然。
あるお宅の主窓には朝日はあたらず、刺さるような西日しかあたらないし、あるお宅は午後になったら真っ暗、みたいな感じ。
資料を調べると、従前は全てのお宅がほぼ南を臨み建築されていた。
ところが、『品の無い』区画整理事業の手により、その美しく住みやすい町並みが無残にも壊されてしまった。
なんとも残酷な計画である。
果たして、誰のために、何の為に行なわれている区画整理なんだろう。
最近の節操無き街づくりには、ほとほと呆れるばかりだ。