子供室を考える
中学2年の時、実家が建替えられました。
それまでの家といえば、両親+祖母+叔父2人+弟+私の7人が二十数坪の母屋と小さな離れに暮らしていて、狭いのなんの。
もちろん子供部屋などあるはずもなく、広縁の隅っこに置かれた幅75㎝ほどの勉強机が私の城でした。
ところが、建替えられた家には私と弟に、それぞれ8帖の部屋が備えられていました。
当時の私にとって、8帖の我が部屋は自慢そのもの。
親父から、ココがお前の部屋だぞって図面を見せられた時のあの感激は今でも鮮明に覚えております。
高度経済成長期、子供に大きな部屋を与えるのは、一種のステータスでもあったようですね。
さて、最近の家づくりにおいて、子供部屋の扱いは随分変化してきました。
弊社に依頼される方も、より小さい子供部屋を希望されるようになりました。
ベットと勉強机以外は置けない広さにしてほしい、とか、勉強机は子供部屋に置かせたくないとか・・。
どうやら自らの子供時代を振り返ってみたときに、広い部屋を与えられた経験を「良し」とする方が少ないことが原因のようですね。
これには私も全く同感です。
子供専用の「子供部屋」を備えたところで、数年しか使わない訳で、どうせならその分、ご夫婦が老後も楽しく暮らせるための部屋を備え、子供が中学、高校の時だけ貸してあげる。
子供が高校を卒業したら、返してもらう。
こんな考え方で提案させていただくと、クライアントも受け入れやすいようです。
実は、子供室がない家の設計を何件かさせていただいたことがあります。
子供室があるお子さんと比較すると「集中力」が秀でていることに気づかされます。
常に、家族が団欒してたり、テレビを見てたりする中で勉強しているお子さんは、自然と集中力が養われるということなんでしょうか。
もう少し部屋が小さければ、私も少しは賢くなっていたのかもしれません。(笑)