そもそも木は濡れてもいいの?
こんにちは、扇建築工房の井口慎弥です。
「外の柱は雨に濡れても大丈夫なの?」という質問はたびたびいただきます。
ということで「そもそも木は濡れてもいいの?」について設計の原則など紹介します。
はじめにまとめ
・そもそも全く濡れないということは無い
・そこで大事なのは、濡れたあと乾くようになっていること
・外部は「赤身」が最適
そもそも全く濡れないということは無い
まずはじめに極端な方法として
この柱が台風でもどんなときも台風でも絶対に濡れないように、
一滴の水も、水蒸気も、湿気も、絶対にこの木に触れないように柱を完全密閉するという方法が可能か考えてみます。
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無理です。
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たとえはじめ完全に密閉したとしても
ゴムを使っていればだんだんと劣化し隙間ができる
木は収縮して動くので無かった隙間ができて
どんな小さな穴からでも水は入る
それから上からの雨を防いでも湿気は下から立ち上って入ってくる・・・
濡れないに越したことはありませんが
室内の木であっても結露や水蒸気があって同じ。
程度は大小あるとしても濡れないことは無いです。
大事なのは、濡れたあと乾くようになっていること
木にとって良くないのは濡れることではありません。
どっぷりと水に浸かっていて空気がなければ腐らないことから、水自体が悪いのでもありません。
木は濡れても乾けば腐りません。
木にとって良くないのは、濡れたままいつまでも湿った状態が続くこと。
ふさいで密閉するということは、水が入って来にくくなる半面、
いったん入ったときには乾きにくく、湿った状態を保ってしまうという悩ましい矛盾があります。
そこで木造住宅では、全く濡らさないという考え方ではなく「濡れた場合にちゃんと乾く」という設計が原則です。
ということで設計するときには
まずは水が入らないようにすること
次に入ってしまった水分をどうやって抜けるようにするかを
同じくらい大事なこととして考えるものです。
材料は「赤身」が最適
設計・施工の原則に続いて、材料の原則。
このような外部の柱には「赤身」を使って下さい。
赤身とはここの芯の部分
ちなみに板にするとこんな見た目。
左が「赤身」、右か「白太(周りの白いところ)」。
このように赤がよく分かる場合もあれば黒っぽい場合もあります。
腐れや白アリに強く耐久性の高いのが特徴です。
赤身が耐久性が高い理由は、細胞が活動を停止するときに耐久性高める成分をつくって蓄える、と言われています。
実際に非常にデッキのような上向きな水がたまるような使い方をしても、非常に長く持ちます。
まとめ
もしこの柱を完全密閉しようとして
水も湿気も水蒸気も全く入らないつくり(を目指して)でつくっても水はどこからか入りこみ
入った水は外に出れずに中で蒸し蒸しになってしまうでしょう。
はじめの写真のような裸の柱は、濡れたあと、最も良く乾く使い方なので問題ありません。
赤身の材を使えばより材料そのものの耐久性も高く安心です。
井口慎弥/扇建築工房
※この記事は2017年のこちらの記事に加筆修正したものです。
「外の柱は雨に濡れても大丈夫ですか?」