呼吸する木の家
桜の便りが届く、暖かい季節がやってきました。
この冬大活躍してくれた弊社の薪ストーブも、だんだんと出番が減りつつあります。
薪ストーブの素晴らしさについてはまた別の機会でお伝えしたいと思いますが、今回は少し別のお話を。
ちなみに、この冬たくさん作ったストーブ料理は、扇食堂のインスタグラムに上がっていますので、こちらもぜひ。
【扇食堂】 https://www.instagram.com/ougi_gohan/?hl=ja
さて、今回は、心地いい暮らしをつくる一つの要素として、
弊社が採用している断熱材のお話をしたいと思います。
『セルロースファイバー』という選択
断熱材には、無機繊維系、木質繊維系、発泡プラスチック系など、様々な素材があるのをご存知でしょうか。
その中でも弊社で使用しているのは、「セルロースファイバー(デコスファイバー)」と呼ばれる断熱材です。
なぜこの断熱材なのかは、弊社の家づくりに対する考え方に通じるところがありますので、
そこを中心にお話させていただきます。
まず、セルロースファイバーには、以下のような特徴がみられます。
・調湿機能に優れている
・施工性が高い
・防音・防火性能が高い
・エコ資源
中でも注目すべきは、「調湿機能」と「施工性」。
順を追って見ていきましょう。
①調湿機能
セルロースファイバーの原材料は、そのほとんどが新聞紙。
新聞紙はパルプから、パルプは木材チップから、木材チップはもちろん木材から作られます。
つまり、セルロースファイバーは元を辿れば木から生まれた断熱材です。
「木は呼吸する」と言われますが、あれは湿気を吸ったり吐いたりする湿度調整のことを言います。
よって、木と同じ性質を持つセルロースファイバーも、同様の特徴を備えているというわけです。
皆さんも、濡れたスニーカーに新聞紙を入れた経験、ありませんか?
あれと同じようなことが、家の中でも起きていると考えてください。
梅雨時期、ビニール合板の床と無垢材の床では、足裏の感触が全く違うと思います。
ビニール合板はベタベタ、無垢材はサラサラしているように感じますよね。
「木」が持つ性質を活かして、心地よい環境を作ってくれるのが、
このセルロースファイバーです。
無垢材や漆喰を利用することが多い弊社の家にも、馴染みやすい断熱材だと言えます。
②施工性
セルロースファイバーは綿状の断熱材で、ブローイング工法と呼ばれる施工方法をとります。
手順としては主に以下の3つ。
①内張シートを弛まないように張り付ける
②シートにホースを差し込んで、セルロースファイバーを送風する(この作業をブローイングといいます)
③ホースの開け口部分を覆う
専門業者に依頼して施工してもらうのですが、
綿状のものを吹き込むという施工方法は、板状や袋状の断熱材と違って隙間も埋めやすく、
ムラができにくいという利点があります。
どんな断熱材も、正しくきちんと施工をしないと意味がありません。
施工者による技術の差が、家の断熱性能の差になってしまう事態は避けたいものです。
その点で、このセルロースファイバーは、高い施工性を誇る断熱材だと言えるのです。
↓〈施工途中の様子〉
↓〈施工完了〉大柳の家
優しい肌触りや心地よい空気を生み出してくれる木の家。
そんな自然素材を愛する私たちがたどり着いたのが、セルロースファイバーという選択でした。
それではまた次回。
三村美香
扇建築工房 https://www.ougi.jp/
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